専用インターホンで窓口の会話がハッキリ!RT9908PSE
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プロジェクト紹介

プロジェクトはこうして生まれました

悶々と過ごす日々

2020年4月以降、連日メディアでは「3密を避けよう!」と報道され、マスクの着用、アルコール消毒やアクリル板やビニールカーテンによるソーシャルディスタンスの対策が当たり前になっていました。また私たちの実生活でもそのような慣れない光景を目にするようになり、いつの間にか普通の生活となりました。
窮屈な毎日を過ごす中で、この厳しいコロナ禍において自身の経験と知識で何か社会の役に立てないかと悶々としておりました。アクリル板越しでもハッキリ聞こえるようにならないか、お店の人がマスクを付けていても大声を出さないで済む方法はないだろうかと、生活者としてまた25年以上放送局で音響の仕事に携わってきた音響技術者として毎日毎日考えていました。

気づきと覚悟

そしてある日、「そうだ!アクリル板の内と外で音声を明瞭に伝えるための装置を開発しよう!」と思いついたのがキッカケでした。まずはそのような装置が業界標準として存在しないか色々と探してみました。きっと無いに違いない、もしあっても手軽に使えるようなものは無いだろう、無いに違いないだろうから気合い入れていっそのこと自分で開発してやろう、探しながらそう思っていました。

まず行動する

そうしたら・・・自分で作らなくてもありました。ハイテク都市深圳市にある「SHENZHEN RETEVIS TECHNOLOGY CO.,LTD(レテビス・テクノロジー社)」というメーカーが、既に窓口インターホンを作って世界規模で扱っているではありませんか。会社紹介によるとこれまでに180か国以上、特に北米とヨーロッパで自社製品を販売されています。先を越された残念な気持ちでしたが、取り急ぎその商品を個人使用を目的に試してみようと個人輸入をしてみました。
製品を分解し、電気的にどうか、機械的にどうか、安全面はどうか、音響的に問題はないか、全体デザインや操作性はどうか、今までの自身の経験をフルに活かして徹底的に調べると、いくつかの問題点が見つかりました。

新しい出会い

致命的だったのは、付属する電源アダプターが日本の特定電気用品安全規格(PSE)に適合していないことでした。この法令に適合していないと日本での販売はもちろん輸入もできません。さらに音声にかすかな雑音が乗っていることに気づきました。「・・・これはダメだ。・・・」そう思いながら知人に相談したところ、「大阪の商社で信用できる社長がおられるので紹介しましょう。」となり、トントン拍子で現地の営業拠点を経由してメーカーと具体的に技術的なやりとりができることになりました。

誠実な対応

何度もやりとりするとこのメーカーさん、有りがたいことに非常に誠実で丁寧な対応です。さらに指摘することに対して的確に答えが返ってくる。雑音問題もパーツが設計変更され解決。「・・・ここなら信用できる。」私が見つけたその他の改善点をひとつずつ改善していただき、当方向けに特別仕様で納品していただけることが決まったのです。電源アダプターも認定工場の製品を付属できることになりました。
そこでレテビス・テクノロジー社オリジナル型番の「RT9908」に敬意を込めて、また独自のPSE認定の意味を込めて「RT9908PSE」と銘々しました。・・・これでやっと基本的な条件が整いました。

山越え谷超え

しかしまだここからが大変です。広告のための日本語パンフレットはありません。もちろん日本語ホームページもありません。付属のマニュアルは簡素な英語版のみです。マイク風防やその他の細かな便利付属品も欲しいところ。日本国内での直接保証窓口もありません。万一の時に備えてPL保険(リコール対応)にも加入が必要です。工場では部品レベルで保管されているので組み立て工程を稼働させるには先行して数百台単位での発注が必要。コロナ禍で航空減便や通関混雑の可能性。・・・それをひとつずつ解決しました。
また取扱説明書は特に意識して分かりやすくシンプルにと時間をかけて作り込みました。ここでも前職で産業オートメーション機器のマニュアルや図面を作っていた経験が活きました。これまで学んで経験してきた電子工学、専門の音響技術、人との関わり、その全てが背中を押してくれました。

感謝

私の座右の銘「人生に無駄な経験はないのだ!」このプロジェクトはまさにそれです。この厳しいコロナ禍において、私がやりたかったことであり、私がやるべき仕事だと今でも思っています。このありふれた製品が広く流通し、国内エッセンシャルワーカーの皆さまの助けになり、さらには企業のBCPにもお役に立てれば幸いです。まず取りかかったのは窓口インターホンですが、これが少し軌道に乗ればこれからも自身の特性を活かして「人のためになること」に積極的に挑戦したいと思っています。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、ご協力いただいた皆さまにはこの場をお借りして深く感謝申し上げます。

ソーシャルディスタンス対策プロジェクト
NTSC西村技術サービス
代表:西村義孝